OPL3 音色紹介
2024-12-30
タグ: #FM_synthesis9月に自作の FM 音源ドライバ n2kd の今後の計画について書いた。 その中で、次期バージョンの公開を今年中に行いたいと述べたが、現時点ではサンプルの MML が完成しておらず動作確認も不十分で、この正月の休みで作業を進めているものの今年中の公開は難しそうである。 9月の計画作成から3か月あってこの体たらくと指差されればその通りで、「n2kd の公開は今年中にできないと思うぜ」というだけの記事では情けないので、何か FM 音源関係の題材をということで自作の OPL3 の音色を紹介する記事を書くことにした。
(次回以降があるかわからないが)今回はドラム系音色を紹介する。 ただし、n2kd は現状 OPL 系チップ搭載のリズムモードに対応していないのもあって、紹介する音色は 2OP か 4OP 使ったものである。 「ドラム系音色」と聞いてリズムモードの情報を期待した人がいたらごめんなさい。
音色の書式は n2kd で使っている以下の形式で示し、LFO がかかっている等の情報があれば都度補足する。
SR
と RR
があるのは n2kd がキーオン時とキーオフ時に EGT
を書き換える実装になっているためである。
4OP 音色の CNT
は 0~3 で書き、上位ビットが CNT(Cn+3)
で下位ビットが CNT(Cn)
である。
@(音色番号) CNT FB ; 音色番号は適当
;AR DR SR RR SL TL KSL KSR ML WS AM VIB
** ** ** ** ** ** * * ** * * * ; slot 1 の値
** ** ** ** ** ** * * ** * * * ; slot 4 の値
** ** ** ** ** ** * * ** * * * ; slot 7 の値 (4OP 音色の場合)
** ** ** ** ** ** * * ** * * * ; slot 10 の値 (4OP 音色の場合)
普段音色作成は基本的に「その音色を楽曲中で使った時にニュアンスが目指す印象と凡そ合致していれば良い」程度の方針でやっている。 そのため、紹介する音色が元の楽器にあまり似ていないと感じたり、単体で聴くと少し変に感じたりといったことがあるかもしれない。 音色のコメントも当社比くらいの感覚で読んでもらえればと思う。 ここで紹介する音色のパラメータは使ってもらったり改変してもらったりして差し支えない。 この記事が何かに役立って FM 音源を使った楽曲がこの世に1個でも増えてくれれば嬉しく思う。
バスドラム
@0 0 4
;AR DR SR RR SL TL KSL KSR ML WS AM VIB
14 10 03 09 10 12 0 0 00 4 0 0
15 05 06 06 01 00 0 0 01 0 0 0
o3 e-
辺りで鳴らす。下りの音程 LFO あり。
アタック部分に良い感じに倍音を立たせて下り LFO をかけるだけで割とバスドラムになるが、このアタック部分の調整が言うほど簡単でない。
1個目の音色からして WS=4
なのは OPL3 の面目躍如だろうか。
この音色のパラメータと下り LFO の速度を少し変えて、音程を上げるとタムもできる。
スネアドラム (スナッピーなし)
@0 0 6
;AR DR SR RR SL TL KSL KSR ML WS AM VIB
15 08 06 06 03 01 0 0 01 0 0 0
14 06 08 07 02 00 0 0 00 6 0 0
o4 d-
辺りで鳴らす。下りの音程 LFO あり。
なんかできてしまった音色なので特に書くことがない……。
スネアドラム (スナッピーあり)
@0 0 7
;AR DR SR RR SL TL KSL KSR ML WS AM VIB
12 00 00 05 00 04 0 0 02 2 0 0
15 06 07 07 01 00 0 0 03 0 0 0
o2 g
~ o4 c
くらいの範囲で鳴らす。下りの音程 LFO あり。
やや軽めに聞こえる気もするので発音する音程で調整というか誤魔化すのが必要かもしれない。
slot1 の AR
でアタック部分の膜っぽい感じを調整できる。
また、ML
を弄ると良い音色かは別として雰囲気を変えられる。
クローズドハイハット (2OP)
@0 0 7
;AR DR SR RR SL TL KSL KSR ML WS AM VIB
15 04 02 08 04 12 0 0 00 3 0 0
15 06 07 10 01 00 0 0 15 6 0 0
間に入るオープンハイハットは下記の音色を使っている。
(FNum,BLK)=(597,7)
で鳴らす。
大分昔に作ったもので、当時曲に入れるとそこまで変ではなかったので採用してそれ以来使っている。
やや怪しい出来だが消極的に使い続けてきてしまったので、別の 2OP クローズドハイハット音色の作成に取り組むべきだとは思う。
オープンハイハット
@0 0 7
;AR DR SR RR SL TL KSL KSR ML WS AM VIB
15 07 01 02 01 02 0 0 15 0 0 0
15 05 04 05 02 00 0 0 01 0 0 0
クローズドハイハットのサンプルで使っているので、サンプル音声は省略する。
(FNum,BLK)=(684,7)
で鳴らす。
これも上記の 2OP クローズドハイハットと同様昔に作った音色である。
不自然ではないと感じるので使っているが新しい音色を作っても良いと思うのも同じである。
スネアドラム(スナッピーあり)とオープンハイハットはどちらもノイズ部分を FB=7
で作っているので、これらの音色が間を置かずに並ぶと混ざってスネアドラムがやや行方不明になる場合がある。
クローズドハイハット (4OP)
@0 2 6
;AR DR SR RR SL TL KSL KSR ML WS AM VIB
15 02 05 04 02 05 0 0 03 0 0 0
15 07 06 07 02 00 0 0 00 6 0 0
15 02 05 04 02 00 0 0 12 6 0 0
15 05 07 09 01 00 0 0 15 0 0 0
間に入るオープンハイハットは上記の音色を使っている。
(FNum,BLK)=(850,7)
で鳴らす。
4OP では 2OP とどの程度違うクローズドハイハットができるのか気になり作ってみたもの。
slot1 と 4 で土台となる音を、slot7 と 10 でアタック部分のより高い音をそれぞれ出している。
OPL 系は 2OP が基本という事もあって、音色作成では如何に倍音を上手く立てるかに第一に集中しており、OPN 系では割合 ALG=4
をよく使っていたにも拘らず音を重ねるというアプローチが大分頭から抜け落ちてしまっていたのだが、それではまずいと気づかせてくれた音色である。
音色を作成する時、音の成分を分解してどの部分を変調で作ってどの部分を音を重ねて作るかを判断する能力がまだ足りない。
また、OPL3 はチャンネル数が多いので 2OP 音色で発音数を優先するか 4OP や現実的かは兎も角 6OP 以上使って音色の表現の幅を優先するかをある程度自由に選べるということになるが、この辺りのバランスも考え甲斐のあるところだろう。
例
ここまで紹介した音色を使ったドラムのフレーズを2つ作ってみた。どちらもドラムパートは1つのみのものである(複数の音を同時に鳴らしていない)。
最後に n2kd 公開の準備が進んでいない理由のうち割合の大きいものを書いておくと、上手く作れない音色があり手こずっていた、電子工作や写真をやっていた、メタ女とツァイ・メタ女で遊んでいた等である。 n2kd の次期バージョンはなる早で公開できるようばんがります。